天国からの贈り物 上期
3月 入学式前夜

入学式前に学園の様子を見ておこうと、寮に向かう前に学園へ向かったが…。

「えっ…なっ何これ…。パンフと全然違う…」

パンフレットの写真では綺麗で、生徒もキラキラしていた。
でも、実際の学校は…
今にでも崩壊寸前なんじゃないかっていうくらいボロボロで、ガラス窓はバリバリ、壁には落書きだらけ…。

しかも… 『四霧死苦』




漢字が違うし…

『夜露死苦』だよ…
あたしより下の人間がいた。

こんな学校で演奏部が全国コンクール金賞受賞なわけがないよ…。
足取り重い中で、私は寮に向かった。

寮の管理人さんに挨拶をして、自分の部屋を案内された。
本来、寮は2〜4人一部屋だが学園長の意向で寮の管理人さんに連絡があり1人部屋となった。
多分、家柄だと思うけど。

寮の管理人さんは、見た目ヤンキーみたいな感じで怖いけど、話しているうちに凄く優しくあったかい人だった。
管理人さんは夢音学園の卒業生で、演奏部の全国コンクール金賞受賞チームだったらしい。
パンフレットもその時のパンフレットだったらしい。
今では地元で有名な不良高校。
私は不安を抱え部屋の片付けを始めた。

「こんな感じかなぁ」

お昼過ぎに片付けを始めて、気づけば夜になっていた。息抜きに私はヴァイオリンを弾こうと寮をでて、寮の敷地内にある池で弾くことにした。その池はあまりの人が来ないし、弾いても大丈夫だろうと管理人さんが教えてくれた。

ヴァイオリンを弾こうと構えると同時に…

「ぐあ!!」

男の人の怒鳴り声と殴られる鈍い音が聞こえた。あたしはヴァイオリンをしまい声がする方へゆっくりと足を運んだ。

そこには男の人20人くらいに対して1人で何人も相手をしているクールそうな人がいた。

あたしはクールそうな人が次々とさばいていくのをじーっと見ていた。あたしと同等…いやあたしより強いかもしれない。

そんなことを考えていると、あっという間に全員地面に倒れこんでいた。クールそうな人はやっと終わったかの様な顔をして倒れこんでいる人たちに背を向けた瞬間、倒れている1人がポケットからナイフを取り出すのがみえた。

『死ねぇぇ』

クールな人『っっっ!!!』

ゴンっ!!!!

あたしはとっさにヴァイオリンにケースをナイフを持った男に投げつけて、男に直撃した。

「あ〜〜ごめんなさ〜い(´・_・`)つまずいたはずみでつい…。」

クールそうな人もナイフを持った人は、私に視線を向けた。我に返ったナイフを持った人は『覚えてろよ』と言って帰っていった。
その後ろ姿を、眺めていると…

『おいっ!!』
クールそうな人に声をかけられた。
私はその人にそっと視線を移し、

「すみません。邪魔しちゃって」

私は謝って、その場を去ろうとしたけど、その人に腕を掴まれてしまった…。

『お前…誰だ』
その人は鋭い目で私をみる…。その人は茶髪でそこら辺の芸能人より整った顔立ちをしていた。
「私は通りがかりの少女です( ´ ▽ ` )ノ」

それを言ってその人に有無を言われる前に、その場を離れた。その人は何か言っていたが、どうでもいい。


その人は殺されずに済んだのだから。

明日から高校生活が始まる…
私はしっかりここに馴染めるだろうか…


つづく…
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