危険地帯
ひとつのルール
『午前は自由にしていいよ~』
そう言われて、繁華街に来ちゃったけど。
期限付きの自由を、素直に喜んでいいのかな?
それに、これは本当に“自由”なの……?
そんなことを悶々と考えながら向かった先は、繁華街の片隅。
博さんのいる、レトロなカフェ。
カフェの扉を開けると、甘い香りがした。
「いらっしゃ……あ、羽留ちゃん!」
博さんの穏やかな笑顔を見た瞬間、締め付けられていた心が楽になっていく。
まるで、私を縛っていた頑丈な鎖が今だけ消えたみたいに。
私は、今日も博さんの前のカウンター席に座る。
すると、博さんがまだ何も頼んでいないのに、コーヒーを淹れてくれた。
「今日もお金ないんでしょ?」
……博さんには、敵わないなぁ。
私がお礼を言うと、博さんは優しく微笑んでくれた。