危険地帯
深月はまた鉄パイプを受け止めると、
「その言葉、そっくりそのままお前に返すよ」
そう言って、力づくで鉄パイプを跳ね返した。
バランスを崩した龍司という人は数歩後ろに下がって、再び深月に迫る。
龍司という人の険しい顔に、深月は口角を上げた。
「……っ」
深月と龍司という人が闘っている近くに、律が片膝をついた姿が見えた。
なんとか闘っていた元黒龍の人を倒したみたいだけど、律の体にはいくつもの傷がついていた。
今まで一度だって傷をつけられた姿を見たことがなかったのに……。
それほどまでに、元黒龍の人達は強いってこと?
「深月、あとはお前だけだぞ」
「おう、わーってる」
司も元黒龍二人に勝ったみたいだけど、ナイフで刺されてしまったのか、司の腕からは血が流れていた。