危険地帯
律も司も苦しそう。
どうしてそこまでして闘うの?
痛い思いをするのは誰だって嫌なはずなのに。
強さを自慢するため?退屈だから?
たったそれだけの理由で、喧嘩なんてするの?
龍司という人は、深月の頭をめがけて鉄パイプを振り下ろした。
深月は、鉄パイプから素早く避けた。
が、龍司という人がすぐに鉄パイプをまた振り上げたせいで、深月の肩に鉄パイプが当たってしまった。
「っ!」
深月は肩を抑え、龍司という人を鋭い目で睨む。
すると、龍司という人は足元にさっき割ったガラスの破片が落ちていることに気づき、ガラスの破片を一つ拾い上げた。
そしてそのガラスの破片を、肩の痛みで動けなくなっている深月のふくらはぎに、グサリと刺した。
「ぐあ……!」
深月の苦しそうな声と、足から流れる鮮血に、龍司という人は嬉しそうに嘲笑った。
こんなの、もう、見たくない。
私は今すぐにでも逃げたい衝動を抑えて、唇を噛みしめた。