危険地帯
あっという間にラーメンを食い終えた俺達。
時計がカチ、カチ、カチ、と音を立てながら針を動かし、午後11時を知らせようとしていた。
「あ、そうだ!僕、これからデートなんだった~」
律が思い出したようにソファから立ち上がると、俺に「ごちそうさま」と伝えて、髪を整えてから地下から出て行った。
また女か……。
忙しい奴だな。
呆れたようにため息をつくと、大きな欠伸をした深月もソファから立ち上がった。
「疲れたから寝るわ」
深月はそう言ってそのまま寝室に行こうとした。
が、急に方向転換して俺に近寄ってきた。
「どうかしたか?」
「ちゃんとあいつに説明してやれよ」
俺の真正面に座っている羽留を横目に小さく囁いた深月は、「んじゃ、おやすみ」とひらひらと手を振って、寝室に入っていった。