危険地帯
潜むカゲ
どれくらい経っただろうか。
だんだんと意識が戻ってきた私は、ズキズキと痛むお腹と身動きが取れない状況に、何とも言えない恐怖を感じていた。
縄で縛られているのか、腕が動かせない。
ひんやりと冷たいコンクリートの床に、体温が奪われていく。
重い瞼をゆっくりと上げようとしたら、
「ねぇ、そろそろ起きていーよ」
そんな陽気な声が私の耳に入ってきて、髪を引っ張られた。
私の目が微かに開く。
「あ、目ぇ覚めた?」
「……っ」
「おはよ~。夜だけど」
髪をさらに強く引っ張りながら私の顔を覗く、オレンジ色の髪をした人。
さっき路地裏にいた人だ。でも、私を殴った人とは違う。