危険地帯
『どうした?』
『神雷だと思ってた』
『あぁ……』
少し驚いている俺とは正反対に、深月は平然としていた。
深月はこの辺で一番強い族に入ると思っていたが……。
『最初は神雷に入りたかったんだけど、やめた』
『どういうことだよ』
『神雷は誰かのためだとか平和を守るだとか、そんな胸くそ悪ぃことばっか考えてるんだとよ』
『だから?』
『だーかーらー、俺はそんなことのためじゃなく、世界をぶっ壊せるくらい暴れられたらいいんだって!』
深月の目は、本気だった。
誰かのためではなく、自分のために。
平和すらこの手で破壊してしまえるくらい、暴走したそうだった。
『俺に一番合ってるのが、黒龍だと思ったんだよ』
『ふーん』
『あ、司が俺に合わせることはねぇぞ?お前に合ってる族に入れ』