危険地帯
偉そうな深月の態度にムカついたから、チャーシューをひとつ奪って食った。
深月は『あー!!』と、悔しそうな表情をする。
俺をムカつかせたのが悪い。
『俺も最初から、黒龍に入るつもりだった』
『俺の真似じゃなく?』
『それは絶対ない』
冷たくそう言うと、深月は『ひどっ』と呟いて口を尖らせた。
深月を追いかけて黒龍に入るとか、ありえない。
でも、びっくりした。
深月も俺と同じように、信用できない世界を壊してしまいたいから、黒龍に入ろうと考えていたことに。
『……司、覚悟はできてるか?』
深月の声がワントーン低くなったことに気づいた。
俺が『何の?』と聞くと、深月は『決まってんだろ』と当たり前のように返した。
『不良になる、族に入る、覚悟だ』