危険地帯
深月の薄い黒の瞳が、獣のように光った。
突風のような迫力を感じる。
『こっちの世界に入ったら、簡単には抜け出せない。運良く抜け出せたとしても、ここにいた“跡”が一生残り続ける』
『あぁ』
『待っているのは、地獄かもしれねぇ』
『あぁ、そうかもな』
『そこに飛び込む、覚悟はあるか?』
天国でも、地獄でも、どちらでも構わない。
間違いも正しさも、どんなことも飛び交う世界に飛び込む準備は、とっくにできてる。
あとは、闇に踏み入れるだけ。
『もちろんだ』
一言そう言って頷いた俺は、深月に『お前は?』と尋ねようとしたが、すぐに口を閉じた。
深月の表情がいつになく、生き生きとしていたからだ。
……愚問、だな。