危険地帯



私はキッチンに行き、冷蔵庫の中身を確認する。


えっと、きゅうりとレタスとミニトマトとベーコンと……。


あ、卵と牛乳がある。食パンもあるから、フレンチトーストでも作ろうかな。



料理をするのは、久し振りだ。


黒龍のそばにいる前は、毎日作っていたのに。


……そう、毎日欠かさず。



お父さん、ちゃんと食べてるかな?


インスタントばかりじゃないといいけど。


それとも、再婚相手の鈴子さんに作ってもらってるのかな。



あぁ、でも、もしかしたら、私を心配して連絡を入れる暇もないくらい、仕事で忙しいのかもしれない。


だとしたら、料理を作ってる暇もない。



「私がいても、いなくても、どっちだっていいのかな」



無意識に、呟いていた。


私がいなくたって、家族は変わらない生活を送ってる。


そう考えてしまったことが、やけに虚しく感じた。



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