危険地帯



ただ喋っているだけなのに、ものすごい迫力がある。


怖くて仕方ない。


睨むことすら、助けてと叫ぶことすら、できない。



「あんた、名前は?」



オールバックの人は、なぜか突然そんなことを尋ねてきた。


どうして名前を聞く必要なんてあるの?


もしかして、悪いことでも企んで……!?



「……」


「さっさと言えよ」



黙っている私を急かすように命令するオールバックの人。


オールバックの人の両耳にじゃらじゃらと付いているピアスが、鬱陶しい。


なんて言ったらボコられるだろうから、口には出さないけど。




「や、山本羽留」




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