危険地帯
左耳に3つ、右耳に4つもピアスを付けている相良深月。
どこからどう見ても不良だ。
「あいつは、西篠 司【サイジョウ ツカサ】」
先程「やっとか」と呟いていた、無愛想で無口そうなアッシュブラウンの髪色をしたツーブロックショートの人を指差して、相良深月はそう紹介した。
相良深月とは対称的に、西篠司はピアスを一つも付けていない。
「で、僕が猫平 律【ネコヒラ リツ】。よろしく~」
私の髪を引っ張った、オレンジ色のマッシュヘアーの人が、チョコレートのお菓子を食べながら言った。
ゆるい口調と猫っぽい目が特徴的な猫平律は、ニコッと微笑んだが、目は笑っていなかった。
……よろしくってどういうこと?
私はよろしくする気ないし、したくないんですけど。
とは、言えるわけもなく。
ただ三人をジロジロと見ていた。