危険地帯




黒龍という名は、普通の高校生の私でも知っているものだった。


私の住む地域では有名な暴走族だ。



黒龍――ルールや常識にとらわれず、気分のままに闘う危ない族。


ここら辺には、もう一つ、最強無敵で有名な族が存在するが、それとは正反対の危険な族。


暴力事件や女絡みの喧嘩、麻薬には、大抵黒龍が関わっていると聞く。



何一つ良い噂を聞かない黒龍。


目の前にいるこの人達が、噂の黒龍だったなんて……!



どうしよう。


早く逃げたい。ここから一歩でも遠くへ。



「そんな怯えんなよ」


「そうだよ。ここにいる僕達が幹部だとしてもね」



え!?この三人が、幹部?




「正しく言うと、深月が総長で俺が副総長、律が幹部だろ?」




ため息混じりにそう説明してくれたのは、不良っぽくない西篠司。


総長に、副総長まで……!?


身体が震えて、驚きの声すら出ない。



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