危険地帯



黒龍への殺気や派手な女の黄色い声を、全て無視しながら歩く三人。



「羽留、危ないから僕のそばから離れないでね~」



時々、律はそう言って私を心配してくれる。


律の隣を歩くと、律という大きな壁に守られている感覚になる。



私達はネオンの光が一切ない路地に入る。


路地にいた不良の会話が、すれ違いざまに聞こえてきた。




「――忍者が、十番の倉庫にいるらしいぜ」




その噂は、私だけではなく、三人の耳にも届いた。


瞬間、私達の向かう場所が決定した。



「倉庫に行くぞ」



口角を上げながら言った深月に、司と律は返事をする代わりに目を細める。



その路地を抜けると、一度来たことのなる人気の少ない大通りに出た。


そこは、黒龍と神雷が会った場所。


私にとって、黒龍のたまり場の次に危険な場所。



今日は大通りを真っ直ぐ進んでいく三人に、私は夜風を感じながらついていく。



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