危険地帯
私は、目を丸くした。
神雷がいたからじゃない。
見知った人物を、見つけてしまったからだ。
「……あ、れ?」
神雷の総長の後ろにいる、二人。
赤メッシュのかっこいい男と、艶やかな黒髪の女。
赤メッシュの男の裾をキュッと握っている黒髪の女を、私は知っていた。
黒髪の女と、目が合った。
「……どうした?」
赤メッシュの男は、隣にいる女の様子がおかしいことに気づき、声をかけた。
もしかして、その人が本当の彼氏ですか?
「――雫、さん」
神雷の人達と一緒にいる雫さんの名前を呟くと、雫さんは「やっぱり」と口を動かした。