危険地帯



どうして、雫さんがここにいるの?



「羽留ちゃん、どうしてここに……?」



雫さんも私と同じことを思っていたらしく、私にそう聞いてきた。


私は何も答えられずに、俯く。


心臓が、妙にざわついていた。




「あれ?そこにいるのって、神雷の二代目総長の藍島 竜【アイジマ リュウ】じゃな~い?」




律は赤メッシュの男を指差しながらそう言った。


神雷の二代目総長が、雫さんの彼氏……?



「じゃあその隣にいる女が、元神雷の姫か」



司の小さな声が、やけに大きく聞こえた。


雫さんが、神雷の姫だった……?


どういうこと?


頭の中がぐちゃぐちゃに複雑になって、わけがわからなくなる。



でも、たったひとつわかるのは、雫さんは黒龍の敵だということ。




「へぇ、神雷のOBに会えるなんて超ラッキーじゃねぇか」




深月は興奮しているような表情でそう言うと、ゆっくりと神雷に近づいていく。



< 235 / 497 >

この作品をシェア

pagetop