危険地帯
どうして、雫さんがここにいるの?
「羽留ちゃん、どうしてここに……?」
雫さんも私と同じことを思っていたらしく、私にそう聞いてきた。
私は何も答えられずに、俯く。
心臓が、妙にざわついていた。
「あれ?そこにいるのって、神雷の二代目総長の藍島 竜【アイジマ リュウ】じゃな~い?」
律は赤メッシュの男を指差しながらそう言った。
神雷の二代目総長が、雫さんの彼氏……?
「じゃあその隣にいる女が、元神雷の姫か」
司の小さな声が、やけに大きく聞こえた。
雫さんが、神雷の姫だった……?
どういうこと?
頭の中がぐちゃぐちゃに複雑になって、わけがわからなくなる。
でも、たったひとつわかるのは、雫さんは黒龍の敵だということ。
「へぇ、神雷のOBに会えるなんて超ラッキーじゃねぇか」
深月は興奮しているような表情でそう言うと、ゆっくりと神雷に近づいていく。