危険地帯
「ワタシ」
こめかみを伝う生暖かい何か。
その何かはポタッ、と地面に落ちた。
それは、私の血で。
また一適流れて、落ちて、地面が真っ赤に染まる。
「……っ」
痛くて、痛くて、仕方なくて。
じんわりと涙が目尻に溜まる。
でも、涙がこぼれないのは、現状がわかっていないから。
私、どうして血を流して倒れてるんだっけ?
………そうだ。
深月の動きを止めたけれど、神雷の総長は突然のことに動きを止められず。
神雷の総長の拳が、深月ではなく、私の頭に当たってしまったんだ。
ズキズキと、痛みがだんだんと増していく。
律の怒鳴り声が、うっすらと聞こえてくる。
わずか見える視界の中には、驚いている司と深月が。
よかった。
深月の目つきが元に戻ってる。