危険地帯
また、世界が揺れた。
いや、世界じゃない。“私”自身が、揺れたんだ。
額を抑えた手に、べったりとついた鮮血。
こんな鈍い赤を、私に見せたくなかった。
「はっ、」
身体全体が悲鳴を上げている。
感覚が失くなっていく。
「羽留、大丈夫!?」
「羽留……!」
「羽留ちゃん!!」
「っ、大丈夫よ♪」
ワタシを心配する律と司と雫さんの声が耳に入り、ワタシは安心させるように不格好な笑顔を作った。
「深月、あなたには――」