危険地帯



また、世界が揺れた。


いや、世界じゃない。“私”自身が、揺れたんだ。


額を抑えた手に、べったりとついた鮮血。


こんな鈍い赤を、私に見せたくなかった。



「はっ、」



身体全体が悲鳴を上げている。


感覚が失くなっていく。



「羽留、大丈夫!?」


「羽留……!」


「羽留ちゃん!!」


「っ、大丈夫よ♪」



ワタシを心配する律と司と雫さんの声が耳に入り、ワタシは安心させるように不格好な笑顔を作った。




「深月、あなたには――」





< 265 / 497 >

この作品をシェア

pagetop