危険地帯



ワタシが、深月に罰の内容を伝えた途端。


痛みに耐えられなくなった体は、まるで電池が切れたように力が入らなくなって、膝から崩れ落ちてしまった。



遠ざかっていく意識の中、“私”の無事だけをひたすらに祈っていた。



ワタシは、バタン……と地面に倒れ込む。


まだ午前三時になっていないけれど、もう限界のようだ。


頭から、大量の血が溢れ、絶え間なく流れる。


体温が急激に下がり、呼吸は浅くなっていった。




深月、司、律。


私を、お願いね♪


どうか、私の命を助けて。






「――へえ、あの女使えそうだな」



十番の倉庫のシャッター付近で、身を隠しながら、ずっと黒龍と神雷の対立を傍観していた謎の人物。


『忍者は、十番の倉庫にいる』という噂を流した謎の人物の狙いは、黒龍と神雷の情報を掴むことだった。



今度は倒れた“私”の情報を集めようと、ニヤリと笑みをこぼした謎の人物。




誰もが倒れたワタシに動揺していて、謎の人物の存在に気づかなかった。


たった一人を除いて。




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