危険地帯
殺気に似た雰囲気を感じ、微かに残っていた力で、視線だけを動かした。
視界に映ったのは、こちらを見ていた謎の人物――忍者の姿。
忍者は情報を集めに行こうと、この場から去ろうとしていた。
「……だ、れ?」
振り絞った声は、あまりにもか細くて。
誰にも、忍者の存在に気づいた人物――ワタシの声は、届かなかった。
重い瞼がワタシの意思とは関係なく閉じられ、ワタシは真っ暗な闇へと身をゆだねた。
目の前で意識を失った“私”を見て
強さが全てではないことに気づいた深月。
深月の砕かれていた気持ちが、生まれ変わろうとしていた。
瞬間、夜空を飾っていた星の輝きが色褪せた。
その代償は、ひとつの終わりだった。