危険地帯
それから、俺と司と律は、元神雷の姫の指示通り、羽留を近くにある病院に運んだ。
神雷の行きつけの大きな病院らしい。
その病院の医師達は、俺らみたいな不良にも優しく丁寧に接してくれた。
羽留には個室が用意された。
しばらくして、羽留を診てくれた医師が俺達に言った。
「命に別状はありません」
数針縫ったとか、貧血気味だとか、しばらくは安静にだとか。
俺達を落ち着かせるような穏やかな声で、わかりやすく、簡潔に話してくれた。
でも、俺は、医師の最初の一言しか聞き取れなかった。
心底、安心した。
羽留が生きてる。
それだけで、泣いてしまいそうだった。
司と律も俺と同じ様子だった。
ようやく、心臓の痛みが和らいだ気がした。