危険地帯
「昨日そう聞いて、びっくりした」
息を吐きながら言うお父さんに、私は俯く。
家を出ていた私が入院してるなんて、そりゃ驚くよね。
「心配したよ」
「……え?」
お父さんが、私を心配した?
信じられない言葉に、目を丸くした。
「嘘つかないでよ」
「嘘?そんなわけないじゃないか」
「だって、私が家に帰らない日々が続いても、連絡一つしなかったじゃん」
ずっと、待っていたのに。
寂しかったんだ。
連絡のない携帯を見て、私は家族だと思われていないんじゃないかって。