危険地帯
夏休み初日の夕飯。
初めて作ったパエリアは、なかなかうまくできた。
もうそろそろお父さんが帰ってくる頃だし、テーブルに並べておこう。
すると、――ガチャ、と扉が開く音が聞こえてきた。
私は料理を全てテーブルに並べ終えてから、エプロンを外しながら玄関へ向かう。
「お父さん、おかえ……り」
「ただいま」
玄関に行くと、なぜかお父さんの隣に知らない女の人と、近くの中学の制服を着ている女の子がいた。
驚きを隠せない私を見て、仕事帰りのお父さんは笑う。
……笑ってないで、状況を説明してよ。
「どちら様ですか?」
お父さんの同僚の方と、その娘さん?
それとも、お隣さん?……いや、それはない。右隣は男性の一人暮らしだし、左隣は若い女性二人だし。