危険地帯
「深月は、どうしてここに?」
私がそう聞くと、深月は一瞬顔をしかめて、気まずそうに視線を逸らした。
グッと唇を噛んだ深月の薄い黒の瞳が、また私に向けられた。
その瞳に映る私は、ボロボロで酷かった。
「お前に、伝えることが、あって」
深月らしくない、歯切れの悪さ。
ザワッ、と吹いた風は、私に嫌な予感を送ってきた。
「――今日で、お前を解放してやるよ」
深月の引きつった笑みが、ドクンと音を立てて鳴る私の心臓を凍らせた。
解放……?
それって、どういう意味?
「お前が秘密をバラすような人間じゃねぇってわかったからさ」
深月が私に伝えたいことが何なのか、わかった。
わかって、しまった。