危険地帯
無意識に伸ばしていた手は、深月の背中をギュッと掴んだ。
雨と涙が、私の顔を濡らす。
「羽留?」
足を止めた深月は戸惑いながら、顔だけ振り返って私を見つめる。
ずっとこの日を待ち望んでいたのに、ちっとも嬉しくない。
黒龍という名の監獄にこれ以上いたくないと、繋がれた見えない鎖が早く消えてほしいと、思っていたのに。
それなのに。
「待って」
「え?」
「行かないで」
黒龍と、三人と、まだ一緒にいたいなんて。
おかしいな。
どうかしちゃったのかな、私。
涙が、止まらない。