危険地帯




「お前、意味わかって言ってんのか?」



私はすぐに、首を縦に振った。


ちゃんと、わかってるよ。



黒龍の、私のために全てを終わらせようとした優しさを、無駄にしてしまうことも。


私が選んだ言葉で、深月を困らせていることも。



それでも、私はそばにいたいよ。



ねぇ、深月。


私の居場所になって。



深月はまだ黙ったまま。


やっぱり、ダメ、なのかな……?


目を伏せる私。


すると、突然雨が当たらなくなって、不思議に思って顔を上げると、




「好きにしろよ」




と、素っ気なく言った深月が、目を細めて、私の方に傘をさしてくれていた。


それって……!


私は嬉しくなって、口元を緩ませる。



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