危険地帯
シノぶ者
翌日。
司が作ったお昼ご飯を食べ終えた私は、一度家に戻ろうと思っていた。
皆にそれを伝えると、
「羽留、帰っちゃうの~!?」
律が眉を下げてそう言ったので、私は笑みを浮かべながら首を横に振る。
家に“帰る”わけじゃない。
「夏休みの課題とか着替えとか、必要な物を取りに行くだけだよ」
お父さんは仕事で家にはいないだろうから、お父さんと顔を合わせる心配もない。
用事が済んだら、すぐに黒龍のたまり場に帰ってくる。
今までだったら、黒龍が怖くて「家に戻る」なんてことは言えなかった。
今だから、言えることなんだ。
「なんだ~。じゃあ、羽留が帰ってきたら、一緒にダーツしようね~!」
「うんっ」
私の居場所は、家じゃない。
ここなんだ。
私のことをどうでもいいと思ってる家族の元になんか、帰るもんか。