危険地帯
ダイニングテーブルの真ん中には、一枚のメモが置いてあった。
『夕飯です。お口にあったら嬉しいです。 鈴子より』
……そうか。
家がこんなに綺麗なのも、お父さんが変わりなかったのも。
全部、再婚相手の鈴子さんが、私の代わりにやってくれていたからなんだ。
「ほら、やっぱり」
お父さんは、私が要らないんだ。
どうでもいいんだ。
きっと、私を家政婦のように、思っていたのかもしれない。
私が病院を飛び出したというのに、相変わらず連絡のない携帯。
娘のことを気にせず仕事に行くお父さん。
「ここに、私の居場所は、ない」
改めて、思い知らされた。
私が帰っても帰らなくても、ここには私の場所なんて、最初からなかった。