危険地帯
繁華街の片隅にある博さんのカフェに着いた。
息を整えて、扉を開けた。
「羽留ちゃん!」
「お久し振りです」
「えっ、羽留ちゃんが来たの!?」
レトロな雰囲気が漂う店内に入った私。
カウンターにいた博さんと、カウンターの奥から顔を出した雫さんが、心配そうな顔で私を見ていた。
「羽留ちゃん、大丈夫?」
「病院からいなくなったって聞いて、心配してたのよ」
博さんは、おそらく雫さんから全ての事情を聞いたのだろう。
私が黒龍と一緒にいることも、頭から血を流して倒れたことも。
「心配かけてすみません」
「無事でよかったわ」
そう言った雫さんは、ホッとしたように肩を落とすと、ふわりと微笑んだ。