危険地帯
カードを手にした司が、カードに綴られた文章を読み上げる。
「『女は預かった。十番の倉庫で待つ。 とある売人より』だとさ」
とある売人だと……!?
まさか、あっちから俺らを誘ってくるとはな。
「羽留を人質に取るなんて、やってくれるねぇ」
律は殺気を放ちながら、不敵に笑う。
手に力を入れて、カードをクシャクシャにした司も、律と同様に殺伐としていた。
俺達との戦闘に、羽留を利用したってか?
……ハッ。
ならば、望み通り、やってやるよ。
「黒龍を怒らせたこと、後悔させてやるよ」
大事なもんを、取り返すためにな。
「今すぐ、十番の倉庫に行くぞ」
今の俺達を、誰も止められはしないだろう。
激しい怒りが、真っ黒な心を支配していく。