危険地帯
「でも実際、お前のことを誰ひとりとして心配してねぇじゃねぇか」
ズキリと痛む心が、鉛のように重く感じる。
なに一つ言い返せないのが、悔しい。
携帯に一つも連絡がないのが、証拠。
……そうだ。深月の言う通りだ。
私を心配してくれる人なんて、アイツ以外には、いない。
「私は、」
「独りじゃない、ってまた言うのか?」
私の声に重ねて、司が真っ直ぐ私を見ながら言った。
だって、しょうがないじゃん。
そうやって自分に言い聞かさないと、いつか現実に潰れてしまう。
幾度となく泣きたくて仕方ないと感じた気持ちを制御するように、独りじゃないと思い込まなければ、ひとりで立ち上がることすらできなくなってしまう。
家にいても、学校にいても、楽しさなんて一ミリも感じなかった。
家ではお父さんの帰りを待って、家事に追われて、孤独を感じて。
学校でも、自分の気持ちをうまく表現できなくて、孤立して。
今までやってこられたのは、アイツの存在のおかげ。