危険地帯
忍者は私に顔を近づける。
私は反射的にのけぞった。
「君を利用するから、意味があるのさ」
意味深に微笑みながら言った忍者に、私の心臓は小さく震える。
私だから……?
何を、言っているの?
「本当はあの時に君の確かな情報が欲しかったんだけど、仕方ないか」
ボソッと呟いた忍者の独り言が、耳に入る。
“確かな”情報ということは、やはり私についての情報はほとんど忍者は“調べて”知っているんだ。
確信が欲しかったから、忍者がたまり場に潜入した時に聞いてきたんだ。
「そろそろ、かな」
忍者は栗色の髪を揺らして、私の背後に周り、私の首に腕を回した。
喉を締め付けられて、苦しい。