危険地帯
忍者は私の首に回している腕を、グッと少し上げる。
喉を締め付ける力が強まり、私は「うっ」と声を漏らした。
私達が情報を掴めなかったのは、忍者が阻止していたからなのだろう。
「俺はさー、ずっとお前ら黒龍が憎かったんだ」
語り始めた忍者。
「お前らの先代に、俺の情報を独占しようとすげぇボコられたし」
すぐ近くから聞こえてくるせいか、忍者の苦しみが痛いくらい伝わってきた。
「悪い噂を流したら、どれも事実なのに、噂を流した犯人をいじめようと探し出すし」
胸に、チクチクとトゲのようなものが刺さる。
「お前らにだって、散々傷つけられた!」
脳裏を過ぎる、忍者が黒龍に暴力を振るわれていた光景。
忍者はいつだって、黒龍の怒りを受けていた。
黒龍がつけた忍者の傷が、時間が経過して“痕”になると、それは憎しみに変わってしまったんだ。