危険地帯
誤解も本音も、全部さらけ出したら。
不格好だけど、少し歪だけど、確かな形になったこと。
遠回りするきっかけは、逃げた先に黒龍と出会ったことだった。
黒龍のそばにいた日々のおかげで、私は家族と向き合えた。
壊れたものを、ひとつひとつ直していく。
どんなに時間がかかっても、どんなに粉々になっていても。
私はもう二度と、現実から目を逸らさない。
「それじゃあ、羽留はもうここに来ないの~?」
「律、めそめそするな」
「だってぇ」
「羽留には、ここではない、居るべき場所が別にできたんだ」
私から律を離した司が、口を尖らせている律にそう言い放つ。
視界の端では、俯いた深月が映っていた。
「大丈夫だよ、律」
落ち込んでいる時に、いつも自分に言い聞かせていた魔法の言葉。
微笑みを添えて、その言葉を、ふてくされている律に送るよ。