危険地帯



深月が「なに笑ってんだよ」と私を睨むから、口をつぐんだ。


だって、わかりやすい深月が可愛いんだもん。



「あ、そうだ。ねぇ、見てよこれ」



私は、持ってきたものを深月に見せびらかす。


持ってきたのは、先程まで行われていた結婚式のブーケトスでゲットした、ブーケ。



「何それ」


「何って、ブーケだよブーケ!」



不良はこういうのに疎いのかな?


このブーケは、まるでお義母さんからのバトンみたいで。


手にした時、嬉しかったなぁ。



「ブーケトスでブーケを受け取れたら、次の花嫁になれるって言われてるんだよ」



私はそう言いながら、ブーケを眺める。


白やピンクの可愛らしい花が集まったブーケ。


きっとこれには、抱えきれないくらいの幸せが詰まってる。



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