危険地帯
きっと、黒龍と神雷は何もかもが違うんだ。
存在する意味も、闘う理由も、掲げる信念も、大切にしているものも。
全てが、正反対なのかもしれない。
黒龍はまるで猫のように気分のままに喧嘩をして、イタズラや悪ふざけをして、誰かを傷つけてる。
でも、神雷は何かを守るために闘って、闇すらも受け入れて、誰かの光になってあげている。
神雷は善で、黒龍は悪。
誰もが口を揃えてそう言うかもしれない。
それでも、私はどうしても頷けない。
『俺達はどう足掻いたって不良なんだよ。平和だの何だの言ってんじゃねぇよ。その平和をぶち壊してんのは俺達だろうが』
深月が言ったあの言葉に、納得してしまった。
結局は同類だと、闇の世界で生きている不良なのだと、思ってしまった。
感情的になって倒れている人にまだ傷を負わせるのは良くないけど、誰かを助けるためだからと言って暴力を振るってしまってもダメだと思うんだ。
……それって綺麗事、なのかな。
力や強さに頼らなくてはいけない状況もあるってわかってる。
だけど、そんな状況が生まれるから、こんな闇に包まれた世界があるんじゃないのかな。