君と僕の白昼夢


「佑、座ってろ」

「え?…うん」

佑は何が何だか絶対理解していない。

だが…

俺にはなんとなくわかる。

学校を出てから、これまでの時間。

想像すれば、わかる。





“今が何時か”






俺はごくり吐息を飲み、リビングのドアを開けた。


ゆっくり廊下へ出て、ドアを閉める。

辺りを見渡し、その名を呼んでみる。

「…日和ー…」


……


返事はない。

やっぱり、きっと、絶対。


“そう”なんだろう。





「っ…………………!!!!」




ふと下ろした目線の先に…


「…日和……」


頭から血を流して倒れている日和がいた。


階段の下で、息絶えていた。



きっと落ちたんだろう。


「日和…………ごめん」


うつ伏せになっていて顔は見えない。


見えなくて良かった…。


自分の家でも、日和は死んだ。







もう、絶望を通り越して笑ってしまうくらい、自分が嫌になる。



佑に…見られなくて良かった。




< 119 / 198 >

この作品をシェア

pagetop