君と僕の白昼夢
「佑、座ってろ」
「え?…うん」
佑は何が何だか絶対理解していない。
だが…
俺にはなんとなくわかる。
学校を出てから、これまでの時間。
想像すれば、わかる。
“今が何時か”
俺はごくり吐息を飲み、リビングのドアを開けた。
ゆっくり廊下へ出て、ドアを閉める。
辺りを見渡し、その名を呼んでみる。
「…日和ー…」
……
返事はない。
やっぱり、きっと、絶対。
“そう”なんだろう。
「っ…………………!!!!」
ふと下ろした目線の先に…
「…日和……」
頭から血を流して倒れている日和がいた。
階段の下で、息絶えていた。
きっと落ちたんだろう。
「日和…………ごめん」
うつ伏せになっていて顔は見えない。
見えなくて良かった…。
自分の家でも、日和は死んだ。
…
もう、絶望を通り越して笑ってしまうくらい、自分が嫌になる。
佑に…見られなくて良かった。