君と僕の白昼夢
「あ…あの…『タイムリープ』ってやつ?」
「え…?」
そりゃ焦るよな、全然喋ったことないやつが急に話しかけてきて自分の読んでいる本のこと言われたら。
ぶつかった時、俺はこいつの名前を思い出せなかったんだから。
「なんで…知ってるの?私がその本読んでるって…」
「や…お、俺もそういうの興味あってさ!色々聞きたいんだ。タイムリープについて…」
その本が合ってるかわからない。だけど聞いてみるだけの価値はあると思った。
「そうなんだ…!!」
瀬川の目が輝く。
語れる相手を見つけたと思ったのだろう。
だが違う。タイムリープなんて全く興味ない。
抜け出したいが為だ。
「タイムリープした人って実際にいるのか…?」
「いるみたい…この本にはその体験談も載ってる。ワープしたって話もあるから」
「それ…本当…?」
「本当だと思うよ…異界に迷い込んで帰ってきたら何年も経過してるとか、一年前の今日に戻った人とかもいるよ」
そう言って瀬川はページをめくる。
そして体験談を俺に見せた。
確かにそんなことがたくさん書いてある。
本当なのか…?
「あと、例えばなんだけど…ある人物が死ぬたびにタイムリープするとしたら…」
瀬川は真剣に俺の話を聞いていた。
「それから抜け出す方法とかって…その人物を助ける方法とかって、わかったりする?瀬川の憶測でもいいんだ」
すると瀬川は口を開いた。