君と僕の白昼夢


プルルルル…


早く……出てくれ頼む……!!


時間は6時になろうとしていた。



ガチャ



「ば、ばあちゃん!?」


【おーおー卓?】


よし…出た……!!


問題は知ってるか、だ。


「あ、あのー…おはぎ、ありがとう」


【そんなんわざわざいいのに。

どう?元気してる?】


今はそれどころではない……!


日和の死の知らせが来る前に…早く……!!


汗が頬を伝った。


暑い。熱い。


よくわからないけど、あつい。


汗が止まらない。


滝のように流れては出てきて。


「あのー…そんなことより…ばあちゃん、神隠しの村って知ってる?」

【神隠しィ?】


「なんかの物語の伝説が残るとかなんとか…」


無我夢中だった。落ち着いていたら、もっと上手く伝わるだろうに。


焦って焦って、言葉が上手くでてこない。


【卓、何を言ってる?】


その言葉に絶句した。


ああ…やっぱり…知らないよな…


ないよな…嘘だよな……所詮作り話か……


「あ……ううん……何でもない……

知らないなら……いいんだ。

うん、元気だよ」


もう既に半泣きの俺は喋る気力が減っていく。

ばあちゃんの質問に今更答える。




しかし……


【あー!思い出したよ。あったねぇそんな話も。かなり昔だねぇ……なんで知ってんの?】


「ほ、本当に!?」



ばあちゃんの言葉に気力が戻ってきた。


【神下村だったかなぁ…】


かみげ…村……?


「神隠しって……本当?」


【さあ…当時はテレビやら新聞やらかなり騒ぎになったけどねぇ…ばあちゃんは直接見たわけでもないしねぇ】


「本当に…?」


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