君と僕の白昼夢
【今はもうないねぇ…かなり昔になくなったよ】
「…え!?」
ないの!?
【本当に昔だからねぇ。でも昔村にいた人が近くに住んでるかもね。若くてもばあちゃんくらいになるのかねぇ】
…なるほどな…
伝説の物語が残り、神隠しが多発した村は確かにあった…
今はない。でもその村に住んでいた人が今は亡き村の周辺に住んでいる可能性がある。
「ばあちゃん、それどこ?」
ばあちゃんに村の場所を聞いた。
その時の時間は6時をとっくに過ぎていた。
掴めた…掴めた…!
確信はないけど試してみる価値はある。
ばあちゃんとの電話を切った瞬間。
「兄ちゃん!」
佑が駆け寄ってきた。
「ひ、ひーちゃんが…」
「しっ…」
佑の言葉を遮った。
「違うんだ!大変なんだ!」
佑は涙目だった。そりゃそうだよな…
でも俺にとっちゃ何回目の死だ。
「わかってるから待て」
携帯にはたくさんの着信。
昔の友人や、日和の親…
佑のところにもきたみたいだな。
「日和が死んだ…だろ?」
「…知ってたの?やっぱり兄ちゃんのとこにもきた?連絡…ひーちゃんは「佑」」
また佑の言葉を遮った。
「いいよ。もういい」
「兄ちゃん…」
死因なんて知りたくない。
もういい。
その事実だけでいい。
死因なんて…
何回目であっても…耐えられないものだな…
大切な人の死は…