君と僕の白昼夢


「えーっと…」


俺は駅にある路線図を確認した。


普段行かないからわからないな…名前も初めて聞いたし…


よく探すと隅の方に駅名を見つけた。


「あった…上条駅…」


“かみじょう”と読むその駅は、無人駅らしい。


「うわ…1時間半…?2時間?」


かなり時間がかかるようだ。




ホームへ降りる。


朝や放課後よりは人は少ない。


こんな昼時に制服を着た高校生がホームにいるなんておかしいかな。


人の目が自分に向いているのがわかる。





そして間もなく電車がホームに入ってきた。


席は空いていたがドア近くに立つことにした。

電車が動き出す。車内が揺れる。


窓の外には立ち並ぶビルや行き交う人々、車が見えた。


空は青く澄んでいる。






本当…俺なんかお構い無しに世界は、時は進んでいるんだな…


普通に過ごして普通に今日を終えて。


みんなにとっては初めての今日で。


本当は俺も…そっちの世界にいるわけで。





何個かの駅を通り過ぎた。


何人か乗っては何人か降りた。


何回か乗り換えをして景色が変わってくる。


ビルや人はだんだんいなくなり、緑が多くなった。


車内の人もかなり減った。


1時間半を過ぎていた。


完全な田舎へ来ていた。


時間は2時過ぎだ。



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