君と僕の白昼夢


適当に周辺を歩いてみる。



景色は変わらない。


相変わらず緑しかない。


全然人がいない。



「神下村なんて本当に…」



ここにあったのか?

人なんているのか?


とりあえず歩き続けた。


でも………確かに空気が綺麗だ。



俺が生活している都会とは違い静かで落ち着く。


たまにはこういうところもいいかもな…











そう思った時だった。




目線の先に人が見えた。


!?


俺はその人めがけて慌てて走った。



30代くらいの女の人だった。


「あ、あの!!」


少し遠くから声をかけた。


その人は俺の声すぐ気づいた。


「すみません、聞きたいんですけど…」


彼女は驚いていたが落ち着いて聞いてくれた。

「はい…」

「ある村に住んでいた人を探しているんです」

「ある村…ですか?」

「神下村…って…」



その言葉を聞いた瞬間、女性の顔色が変わった。


「昔の村です…一体どうして…」

やっぱりここらへんの人は村について知っているようだった。


「いませんか?昔住んでいた人…お願いします。聞きたいことがあるんです」


必死に頼んだ。終始変な目で見られていた気がする。



「…います…近所に…」



不審がられていたが教えてくれた。



無言でその人について行く。


やばい。完全に俺不審者じゃないか…


「こ、ここ空気綺麗ですね」


「都会から来られたんですか?」


返事をしてくれた。


「そうなんです」


「こんな所まで来て知りたいことがあるんですね…」


「はい…」


その会話以降、何も話さず小さい住宅地についた。


「あの青い屋根の家です…」


そう言って女性が指さした家は小さかった。


「ありがとうございます。助かりました」


俺は礼を言ってその家へ向かった。


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