君と僕の白昼夢

終わりは光じゃない



神下村にはおばあさんが生まれる前から確証のない伝説が存在していた。

本気で信じるものはいないほどに有り得ない内容だったからだ。


そしておばあさんがまだ若い頃、初めての神隠しが発生する。


村の子供が夕方になると消えるというものだった。


初めは誰も信じなかった。ただの迷子だと。


しかしその子供は見つかることもなく、二度と村に帰ることはなかった。


それから毎日のように神隠しが起こった。当時は村の人口が多かったため、子供もたくさんいたという。


神隠しにあった子供は1人も帰らなかった。


だんだん信じるようになった村人は恐れ、夕方に子供を外に出さなくなった。


しかし、家を抜け出したある子供が神隠しにあってしまった。


母親は途方に暮れた。見違えるほどにやつれ、やせ細り、毎日のように子供を探した。


しかし見つからない。


村人は母親を励まし続けたが、彼女は他の母親とは違い、村人に牙を向き始めた。


「泣いている暇があるのなら、私の子供を探せ」


と。



< 171 / 198 >

この作品をシェア

pagetop