君と僕の白昼夢


村人は初めは協力していたものの、母親の態度と豹変ぶりに次第に彼女から離れていく。


そして独りになった母親は、恐ろしい方法を思いつく。


それは伝説どおりにすることだった。


心を病んだ母親は伝説に縋るしかなかった。


母親から離れていった村人は、彼女がそんなことを考えていたなんて知る由もない。


そして伝説どおりにした結果、なんと彼女の子供は戻ってきたのだ。


村人は驚き、母親を問い詰めたが、一切口を割らない。


そしてこの子供が帰ったと同時に、別の子供が消えたのだ。


村人はまた神隠しかと思ったが、その子供は朝からいなくなっていた。


母親はとうとう口を割ることはなく、しばらくして子供と村を出た。


神隠しから帰った方法はついに分からなかった。


しかし、母親と子供が村を出てからしばらくして、山奥で子供の死体が見つかった。


朝からいなくなっていた、あの子供だ。神隠しではなかった。


井戸の中で息絶えていた。


< 172 / 198 >

この作品をシェア

pagetop