君と僕の白昼夢


「どうした?急に大人しくなって」

歩いている途中、健太郎が話しかけてきた。

「時間が過ぎるのは早いなって…」

「えぇ?そりゃ、楽しい時間は尚更な。

まあまた行こうぜ。いつでも行けるんだし」


健太郎が呑気に笑った。

「はは、そうだな」

俺もつられて笑った。


健太郎と話している時間でさえ早くすぎ、景色は変わり、とうとう海へついてしまう。




そしてまた崖へ来た。


「お前ここそんなに好きなわけ?」

健太郎が海を見ながら俺に言う。

「んーそうだね…落ち着かね?」

「まあ…静かだしな…」


そしてお互い無言になり、沈黙が続く。


波が岩にぶつかる音だけが聞こえた。


水平線に太陽が沈んでいくのが早く感じる。


そろそろくる…


ついに…最悪の時が。





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