君と僕の白昼夢


近いからすぐに着いた。


人は思った通りたくさん並んでいる。


「わーすごい人」

「……だな」


俺達は最後尾に向かう。


歩きながら日和が聞いてきた。


「こりゃ……1時間は待ちそう………」


「だろうな……」


「大丈夫?」


「え?」


「1時間も…待つんだけど…………」


予想外の日和の言葉に驚いて聞き返してしまった。


「大丈夫だよ」


俺は笑って返した。


そして列に並んだ。



「すごいねーおいしそー………」



外からも少し見えるため、日和はそこから覗いている。


運ばれているケーキなんかをじっと見ていた。


「恥ずかしいから、あんまり見んなよ。

あとで食べられるだろ」



「そうだけどー………」



次第に恐怖も不安も、また消えていった。


思い出していたあの夢も、忘れかけていた。


「あ、メニューあるよ!」


「お」


日和がメニューの書いてある看板を指さす。


「やっぱり甘いものメインか」



「そうだよ〜!アレも食べたいなー……

あ、待ってアレの方が…」



あと1時間だぞ?今決めてもどうせあとで変わるくせに。



そんな日和が微笑ましかった。





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