君と僕の白昼夢
昔、ある村では10歳の子を年に一度、生贄として神に捧げる掟があった。
生き埋めだ。
その年は女の子が生贄に選ばれた。
生贄は捧げられる時まで、地下の牢で少しの間過ごす。
その女の子の世話役に10歳の男の子が選ばれた。
その二人はやがて恋に落ちる。
そして脱走を企てる。
二人は村から逃げ出そうとした。
だがすぐにいなくなったことが村の大人にバレた。
子供の足、見つかるのも時間の問題。
逃げている最中、大人の声がすぐ近くに聞こえた。
女の子はその時、近くに井戸があることに気づいた。
二人で一緒に逃げるのは不可能なことにも。
そして恐ろしいことに、女の子は想い人であり、自分を逃がしてくれた男の子を井戸に突き落とした。
そして叫んだ。
「贄が井戸に!贄が井戸に!」
その間に逃げた。
落とされた男の子はすぐには死ななかった。戻ろうと壁を登ろうとしたが滑って登れない。
これが『つるとかめがすべった』。つるつる壁が滑って登れない、ということである。
村人は井戸の中で生きている男の子を見つけたが女の子はもういなくなっていた。
男の子も10歳だったので生贄にできる。村人は女の子を諦め男の子を生贄として生き埋めにした。