君と僕の白昼夢
「なっ………」
健太郎は足の踏み場を失くし、真っ逆さまに落ちていく。
俺の目を見ながら。
「卓……」
“どうして……?”
“なんで……?”
泣きそうな瞳で、俺を見つめていた。
そんな目で……見ないでくれ……
世界の音が消えた。
スローモーションみたいに健太郎が落ちていく。
「健太郎…!!」
健太郎の髪がなびく。
健太郎は俺に向かって手を伸ばしていた。最後まで。
最後まで健太郎は優しかったのに。
俺が……俺が壊した。
こうするしかなかったなんて言い訳なのかもしれない。
そして一瞬で、その姿は波に消された。
大きな水飛沫をたて、健太郎は波に飲まれた。
「…健太郎…!健太郎っ……」
落ちていく健太郎の瞳が、悲しそうな顔が、忘れられない。
頭にこびりついて、きっと一生離れない。
「ごめん…ごめん…!!」
俺は今日、大好きな親友を殺した。
それと同時に、俺の心も死んだ。