君と僕の白昼夢
第七章

彼の心は戻らない




日和side



青木くんが崖から飛び降り自殺をしてから、卓は空っぽの人形のようになってしまった。


話しかけても、反応はない。


目の奥は真っ黒で真っ暗で、何も映していない。


どこを見ているのか、わからない。


「卓…」


ずっと同じところを見つめている。



「けんたろうは…けんたろう…は…」



青木くんの死がショックだったのだろう。


ずっと青木くんの名を呼んでは、ときどき涙を流していた。


青木くんは、私たちに何も言わず逝ってしまった。


彼の死によって卓の心は壊れてしまった。


そりゃそうだよね…親友が、自殺なんて…


私だって、悲しいよ卓。











そしてあれから、卓は青木くんが自殺したあの崖から飛び降りるようになった。




彼と同じように。




“今日”で何回目だっけ…?




卓の死をもう見たくない…何回見たんだろう。



ここから抜け出すには、どうしたらいいんだろう…











END
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