君と僕の白昼夢
列もかなり進む。
日和に気づかれないよう、腕時計を静かに見てみる。
5時…。
そろそろ日和が言い出す位置にも時間にもなってきた。
「日和」
「ん?」
「今日俺奢るよ」
「えっ」
とにかくコンビニに行かないでほしい。
そのためには、先手を打つこと。
「いやでも…」
日和はいつものように遠慮する。
優しい日和は、人に奢ったり貸したりするのに、自分は奢られたり貸りたりするのは嫌いらしい。
でも、だ。どうしても、だ。
「いいから」
「なんで…」
「日頃の感謝?」
日和に向かって微笑む。
日和は困っていたが、次第に納得したようで…
「そうなんだ…ありがとう」
幼なじみの俺、ということもあり頷いてくれた。
よかった…これで日和は向こうへは行かない。
轢かれて死ぬこともない…。
「あ、ちょっと進んだよ」
日和が早足で進む。
「おう」
俺も日和を追いかけようとしたそのときだった。